2010年01月31日

「頑張る」という倒錯 2



みなさんは、学校の先生などに
「頑張れ」
と言われて、嫌な気持ちになったり
反発したくなった経験はありますか。

逆に励みになった人も多くいると思いますが
嫌な気持ちになった人はきっと、

「頑張る」ということを
他者から強要される感じが嫌だったのではないでしょうか。

つまり、「頑張る」「頑張らない」の選択を
自分で選べない、ということです。


逆に、「頑張る」「頑張らない」の選択を
自分で選べる、ということは
自分の中に何で頑張りたいのかという問いに対する
答えがあるということでしょう。




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2010年01月30日

「頑張る」という倒錯 1




みなさん、頑張っていますか?

頑張っているか、という問いよりも重要なのは
私たちは「何のために頑張っているのか
だという気がします。

そもそも、この

「頑張る」

という言葉の由来は何でしょう。

私はある教育学の先生から
「頑(かたく)なに、体を強張らせて張っている様子」
だと聞きました。

頑張るの語源を
「一定の場所から動かない」としている辞書もあるので
そのニュアンスから来ているようにも思えます。

「頑張る」とは
体を頑なに強張らせ張るような
人間にとって苦しい状態です。

特に学校教育では「頑張る」ということを
肯定的に捉えすぎる感じがありますが

その教育学の先生は、
教師が生徒に「頑張れ!頑張れ!」とせっつくことを
「生徒に非常に苦しい状態を強いること」
と考える考え方も大切だと教えてくれました。

posted by lilac at 18:00| エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月29日

研修科課題研究 第二回 ゼミ発表のコツ28、 柱、背景(6)


前回は少し難しい話になってしまったかもしれません。
しかし、重要な話でした。

ただ、この「ゼミ発表のコツ」のテーマは
研修科の発表のために
伝わりやすいシナリオを書く、ということでした。

そこで今回は、もう少し分りやすいテーマで
映像の背景(柱)の使い方について
考えていきましょう。


ドラマ『銭ゲバ』や、
最新のフジヤングシナリオ大賞作品『輪廻の雨』
に、林の中で死体を埋めるシーンが登場します。

今回は、ちょっと恐いですが……

林の中に登場人物が死体を埋めるシーンの背景を例に
考えてみます。

下記の例のシナリオは、
便宜上、その林がどんな林なのかという描写は無しにしてあります。

――――――――――――――――――――――――――――

○林
   黒いフードの男がいる。
   男の前には大きな穴がある。
   穴の中には、ブルーシートに包まれた
   大きな何かがある。
   ブルーシートからにょきっと、人間の手がはみ出ている。
   男、スコップで必死に穴に土を入れ、穴を埋める。

――――――――――――――――――――――――――――

中に死体があることを示すために、例、では手を出しましたが
手を出さない方が想像力をかきたてられるので
僕は好きです。

さて。
では、この黒いフードの男が死体を埋めるシーン。
背景となっている林の雰囲気をいろいろと変えてみましょう。

まずは……
(これからの例は、便宜上、
 死体を埋めるシーンの描写を簡略化しています)

――――――――――――――――――――――――――――

○林(夜)
   黒いフードの男が穴に死体を埋めている。

――――――――――――――――――――――――――――

柱の時間を夜にしただけです。

今、『眠れる森』の再放送がフジでやっていますが
あの作品は、林ではありませんが、森の雰囲気の演出に
こだわった作品です。
昼間は穏やかで美しい森も、夜になれば黒々とし
恐ろしさを帯びてくる……。
そんな表現をしていると、解説されていました。

このように、背景の森を夜にするたけで
・暗い雰囲気
・陽のあたる場所で出来ない行為をしている罪悪さ
などが表現されてきます。

では、さらに夜の森を工夫してみましょう……

――――――――――――――――――――――――――――

○林(夜)
   大雨が降っている。
   黒いフードの男が穴に死体を埋めている。
   男のフードを、スコップを、雨が激しく打つ。
   地面、雨に打たれ土が弾け飛ぶ。

――――――――――――――――――――――――――――

課題に「雨」がありましたが
「夜」に、さらに「雨」を加えることで
伝わる内容のニュアンスが変わってきました。

・冷たそう
・痛そう
・こんな雨の中、何してるんだろう……

のような印象を持つ方もいるかもしれませんし

この激しい雨を、罪を打つ何か、を
投影する人もいるかもしれません。

黒沢明の『野良犬』でも
激しい雨が背景や登場人物をうつシーンがあります。
「雨の映像があるなぁ〜」
なんてボーっと見ているのは、甘いかもしれません。
つくり手はそれほど漠然と雨を入れているわけでは
ありません。

詳しくは知りませんが、
雨をつくりだすために、
わざわざ人口雨を降らせるシャワーなどの
機材などを用意し、
お金、時間、人と手間をかけ
雨を作り出しているはずです。

雨にはちゃんと意味があります。

では、また違う例をみてみましょ。


――――――――――――――――――――――――――――

○林(朝)
   木々の隙間から朝日が差し込む。
   小鳥のさえずりが聞こえる。
   黒いフードの男が穴に死体を埋めている。

――――――――――――――――――――――――――――

これもこれで、気持ち悪いのではないでしょうか。
つまり、恐怖心や不安感をあおることに成功している画です。

以前に
13日の金曜日の舞台となる湖が
「デビルレイク」などいかにも恐い名前ではなく
「クリスタルレイク」と、美しい名前であるため
そこで起きる惨劇の恐ろしさがより際立つと
紹介したように

朝の爽やかな森の中
一点だけ異様な画があるわけです。

周囲の爽やかさがと、
画面中央のおどろおどろしさを奇妙にも際立たせています。

もう少し極端な例を見てみましょう。




――――――――――――――――――――――――――――

○林
   木々の隙間から日差しが差し込む。
   黒いフードの男が穴に死体を埋めている。
   男から遠く向こうに丘が見え
   多くの家族連れがビニールシートの上で
   昼ごはんを食べている。
   その楽しげな声が響いてくる。
   男はしきりに死体を埋めている。

――――――――――――――――――――――――――――

死体を埋めるところ見られちゃうじゃなぁい?
とか、どっかのナカジーみたいなつっこみが来ることは
否めませんが
それはさておき

向こう側には平和な世界が見えるわけです。
つまり、日常です。
しかし、一つ、非日常の林に入り込めば
そこでは恐ろしい出来事が起こっているわけです。

これは単に演出として恐さを引き立たせる効果もありますが
深く考えると、
まさに私たちの社会の投影ではないでしょうか。

平和な日常と恐ろしい出来事が
隣りあわせで混在している。

しかし、昼ごはんを食べている家族連れが
林の中の恐ろしい出来事には全く気付かないように
わたしたちも隣で起きている恐ろしい出来事に
なかなか気付くことができません。

突然街を歩いていて、無差別に刺し殺される恐れもあります。
家、という壁を隔てて、その向こう側で
虐待、暴力、貧困、自殺などが起こっていても
全くわかりません。

最後のこの例は、背景や柱に何かを投影する
非常に映画的な考え方ですが

どこかでみなさんのシナリオ創作の
お役に立てればと思っています。


最後に、今回の例はちょっと恐ろしいものでしたが
ホラーばかりではなく
ラブストーリーにおいても
家族モノにおいても
コメディにおいても
柱、背景を考えることで
より作品を引き立てることができると思います。

それでは今回をもちまして
この柱(背景)というテーマを
終わりにしたいと思います。

次回からは、この長かった
「研修科課題研究 第二回 ゼミ発表のコツ」の最後

「シナリオの読み方」、について考えてみたいと思います。







posted by lilac at 18:00| 研修科課題研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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