2010年05月13日

第一回 セリフの研究3、セリフと人物性実践ワーク67




(第五話 記憶(4))


(記憶のフラッシュバック)

6年前……。

ある部屋。
椅子に縛られた3体の刺殺体。

血まみれの床を歩いていく人物。
エーデルワイスの鼻歌を唄いながら。

その人物は部屋を去って行く……。

玄関の扉の開く音。

「たっだいまー」

元気のいい少年の声。

勢い良く部屋に入り、部屋の光景を見て
凍りつく少年。





そして……



その後ろから聞こえた。


エーデルワイスの鼻歌。
楽しげな、嬉しげな、恋する乙女のような
エーデルワイス。

凍りつき身動きが取れない少年の真後ろに、
白いワンピースを着たその人物……
まだ14才の殺人者、
その少女は立った。

絶望と恐怖で身動きがとれない同い年の少年に
少女は言った。

「死体ってキレイだね。
 人を殺すって、興奮するね。
 大好きなんだ。
 君のことも、殺したいな」

恐ろしい言葉……。
しかし

「そうそう。振り返ったら殺しちゃおうと
 思ってたんだ。
 でもね、振り返らないからつまんないな。
 仕方が無いから、殺さないであげるね」


少年は助かった。
助かった……が、終わりでなかった。
より深い、より濃度の濃い悪意に満ち満ちた言葉が
少女の口から発せられた。

「今は…、ね」

少女は続けた。

「わたし、ずーっとあなたのこと見てる。
 だって面白そうだもん。
 私が家族を殺した子が
 どんな人生を送るのか、すっごく興味あるの。
 でもね……飽きたらやっぱり、殺しに行ね。
 忘れないでね」


少年は立ち尽くした。
いや、そんな能動態での表現は相応しくない。

妙な日本語になるが、立ち尽くさせられた、が正確だ。
受動態だ。

状況によって……立ち尽くしざるを得なかった。
立ち尽くすしかできなかったのだ……。

どのくらい時間が経っただろう……

やっとの思いで少年が振り返ると
少女の姿はそこに無かった。


その少年こそ、当時14才の空流涼であり
その少女こそが、当時14才の殺人者
美女崎華恋だった。


――――――――――――――――――――――――――――


そして、その少年と少女は、今
時を経て
二人、対峙している……。




posted by lilac at 18:00| シナリオ創作演習T | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。